勝手に好きです!
冷めない熱
限りが見えない空を眺めて、形を変えていく真っ白い雲をぼんやり追いかける。それから視線を黒板の真上の丸い時計に移してまだこんな時間か、とため息をつきながらフッとわざとらしい哀愁を漂わせた。
ああ、早く帰りたい。
「先生!おなかが痛いです!」
「雪原!おまえ本気でそれ嘘だろ!」
体育会系な教師の間を置かない呆れた返事に、あら?バレてましたか?なんて曖昧な笑みを返した所でクラスに失笑が吹き荒れた。
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