勝手に好きです!
気付けば周りのギャラリーも訳が分からない、といった様子の目線を投げかけていて、静かになっている。
「おねえちゃんはこうみえて強いのです!ハルっ!心配無用だってば!」
「あああ!そんなか細い腕を振り上げちゃ、ああ!もう見てらんない!」
くそぉ、話が平行線だ!おそるべし!弟よ!
何か言葉を探そうと能内をフル回転させた時、カランと扉が開いた。
「水嶋さん、無理しないように。またいつでも来て下さいね」
この柔和な声はお父さん。そして、
「助かります」
頭を下げたのは、
「っ!!!真さんっ!」
その華々しくも美しい登場に、その存在に、雰囲気が一瞬で変わるのを肌で感じた。