勝手に好きです!


「ただいまー」


純日本建築の門を開けると、無駄に広い玄関先が広がる。庭は日本庭園ばりの手入れされた芝生に築山、庭石や鯉の泳ぐ池に草木。これはお父さんの趣味で、休日はいつも庭いじりに勤しんでいる。
 デカいばっかりで老朽化の著しい家屋は、明治時代に商売をしていたらしい曾祖父の時代からだから年期も入っている。
再婚した時に、リフォームしたから今は和モダンな感じで『なんという事でしょう!』と叫びたい位の変貌を遂げた。

「真夏ちゃん!ちょっと来て!」

靴を脱ぐ間に、甲高い声がキッチンから響く。この声は蓉子(ようこ)さん。蓉子さんはお父さんの再婚相手。つまりハルの実の母親だから勿論、かなりの美女。お約束だ!
むむ、それにしても蓉子さんったら仕事はどうしたのかな?

とりあえず声の方へ小走りに急いだ。


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