勝手に好きです!

「蓉子さん?」

「真夏ちゃん!良かったわ!ちょっと手伝って!」

「はひ?」


蓉子さんは長い黒髪をキャリアウーマンらしく纏めて、グッチのスーツに身を包み、エルメスのスカーフを首に巻いて長くて細い脚を惜し気もなく踏ん張っている。…んぅ?
 全くキッチンには不似合いな格好。更に、蓉子さんのそのポーズもなんだろ。左手に包丁、右手はクリストフルのフォーク。あれは確か6本そこらで七万円とかゆう破格の値段のするやつじゃなかったかな。結婚した記念に蓉子さんが買ったのだ。代々受け継いでいくわよ。と笑顔で言っていた。元々社長令嬢の蓉子さんの金銭感覚はぶっとんでるけどね!


「真夏ちゃーん!」


蓉子さんの叫び声と、キッチンの台からバタンッという大きな音に私は軽く身構えた。


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