勝手に好きです!
足音に足音。玄関の開く音がやっと私に認識出来る近さに近付く頃には、鯛を刺身にし終えた所で、盛りつけたお皿を両手で運んでいると、リビングの方から声が聞こえた。
「豊!あなた仕事中でしょ!何してんのよ!」
蓉子さんの声。いやぁ、蓉子さんあなたも仕事中の筈では!そして、そのツンツン具合!間違いなくツンデレ属性ですな!
「陽斗君が外で乾燥した煮干しみたいになってたからね~」
「陽斗?あらいたの?」
「……ね、姉さんは」
全く噛み合わない会話の後、私は刺身の盛り合わせを持ってリビングに向かう。これは良いタイミングだ!早く確認せねば!
「お父さん!真さん次はいつ来るのっ!」
「いや~、真夏すごいじゃないかその刺身、今日はお祝いかい?」
「姉さん!」
「ん?陽斗君良かった、みずみずしくなったね~」
「鯛はね!釣ったのよ!そして貰ったの!」
「それより真さんはっ!」
怒涛のスクランブル会話か!