勝手に好きです!
「っ痛!」
流れ作業の合間に熱々の鍋に小指が触れたらしい。
おおう、目茶苦茶熱い!
思わず飛び跳ねたよ!アウチと叫ばなかっただけ褒めてね!
「どうした?」
真さん聞かないで!
こんな失敗見せたら嫁に貰ってくれなくなるかもよ!
「なんでもないよ」
ヒリヒリする小指を見せないようにいつも通りヘラッと笑った。
演技派な訳ではないけれど、まあこれ位なら全然我慢出来る。名誉の勲章だ。
なのに、真さんは怪訝な顔のまま近付いて。
「あ、え?」
「見せろ」
少し険しい表情で、だけど淡泊な口調とその動作があまりにも自然過ぎて、ホケッとなった私に構わず、真さんが赤くなった指先を見つけた。