勝手に好きです!
「…………」
無言なのに、全力で不機嫌さが伝わるオーラ。
印象深い目元は切れ長よりも大きめで耽美なカーブを描き、今は絶対零度に染まっている。それなのに私のハートを着火させる夜を移した瞳にクラクラする。鼻筋から口許まで官能的にさえ見える色気があるのに、突き放した冷たさを持っていて傲慢にも見える程整っている。艶やかな黒髪、十等身のお手本になりそうなモデル体型。歩いても座ってもシワの跡を作らないないスーツはきっと値段も上等なんだと思う。
この恵まれ過ぎた容姿を持つお方こそ水嶋真一さん。
「会いたかっ…」
った、です!と続ける言葉とその胸板に飛び込むように広げた腕は見事に、スルー。…ん?スルー?
あら、地面が近いよ?
「どあっ!」
次に感じたのは温かく広い胸板、ではなく冷たいアスファルトの感触だった。