チャンピオン【完】
「グヌヌ... !」
降参したいけど、これを耐えていれば貴丸は勝つ。
了くんは出来なかった技。
貴丸は軽々とマグマを持ち上げ、逆さになった逆毛は頭からリングに叩きつけられた。
仇を討つはずの師匠と同じ、ジャーマンスープレックスで奴は負ける。
ガッチリと肩を押さえつけられた赤逆毛と貴丸の高いブリッチを、私は横目で見た。
カウントが始まった。
が、再び事件は起きた。
「キィイイ!! マグマ~~~!! 許せない!! あんたなんかこうしてやる!!」
ミコトが技を解かないままに手をかけたのは、私の顔の仮面だった。
それはいとも簡単に剥ぎ取られ、リングに転がった。
「あ... 」
私は間抜けな声が出ただけだった。
技のせいでどれくらい呼吸が止まっていたんだろ。
それで私の意識は一瞬とんでいたらしい。