チャンピオン【完】
リングの上で目が覚めた時、なにか熱いものに私の頭は強く包み込まれていた。
『勝っちゃった!! みんな! ミコトを応援してくれてありがとう☆』
マイクを通して聞こえる、喜ぶミコトの声。
今度は私の頭に柔らかいタオルが被せられ、熱いものが離れていく。
狭い視界の中、正面にいるのは兄貴だ。
「何で負けた... ?」
「詩、すっげー頑張ったね☆ お兄ちゃんは誇らしいよ!」
「... なんで?」
教えて。カウントはあとふたつ。
私は耐えた。
貴丸勝ってたっしょ??
「仮面が外れちゃったからさぁ... 貴丸、詩の顔隠してくれたんだよ☆ あとでお礼いいなさいね♪」
「はぁ!?」
んなどうでもいい事の為に、なにやってんだコイツ!!
マグマは仰向けに転がったまま、貴丸は私のすぐそばで片膝つき息を整えていた。