チャンピオン【完】
私は兄貴の腕の中でジタバタと暴れた。
「放して!! いや! 私あんなエロい服着て、プロレスなんてやりたくない!!」
「話し合おう? な? 貴丸強いだろー?
これが一緒だ♪ 怖いことなんてなぁんにもないぞ♪」
その怪物がまず怖いです!
兄貴は困り果て、怪物に助けを求めた。
「貴丸もなんか言え? 俺が一緒だから安心しろ☆ とかなんとかこいつを説得してくれ!」
「一郎、嘘は良くないぞ。俺がいたって、死ぬときゃ死ぬ」
その冷静でもっともな貴丸の言葉に、私の恐怖は倍増した。
「... いやぁぁぁぁぁー!!」
「じょ、冗談だよ、冗談だよ! 貴丸ってばお茶目さんなんだからぁ♪」
どう見たってこの男がお茶目さんになんて、私には見えなかった。