チャンピオン【完】
「暇だからテレビつけたらやってたんだもん」
「あそ」
あれだけリングで暴れてた奴が、これとか。
薄気味悪いったらない。
「お前、打ち上げどうしたの?」
「謝りたかったから抜けて来た」
怪我させたのも、負けたのも私のせいだ。
「何を... 」
「私のせいで負けてごめんね!!」
私は頭を下げたつもりだったけど、たぶん頷いたくらいにしか見えなかったと思う。
だってむちゃくちゃ癪なのだ。
やりたくないことやらされたうえに、私のせいで貴丸は怪我をした。
なのに誰ひとり私の事を責めてくれない。
女子高生だと思って、みんなで舐めてる。
いつもそう、この疎外感。
了くんの言ってた『男の世界』なんて、私は知らない。