チャンピオン【完】
優しい顔で仲間外れにして、5年前のことだって私一人知らなかった。
「お、お前まさかそれで謝ってるつもりなのか... むちゃくちゃ悔しそうにしか見えない... ?」
本当は私を庇って怪我した奴に謝りたくなんてない。
ほっといてくれたらよかったのに! と言いたいところだ。
私はお弁当の入った袋を押しつけ、くるりと踵を返した。
「じゃ! そういうことで!」
「無理」
私の身体は戻る方向に向かっていたのだが、強い力に掴まれ引き戻された。
昨夜もこんな風に後ろから抱かれた。
だから無駄に恥ずかしく、力の限りに私は暴れた。
「離して! 昨日のは間違いでした!! あんた私の事やっぱり無視すんじゃん!!」
別にイチャつきたくなんてないよ。
でもこんなに冷たくされる意味わからない。
私の事を好きでもない奴にあんな風な負け方されて、腹立って仕方がない。