チャンピオン【完】
「アドバイザーから... お前には優しくするより、可能な限り冷たくしろって言われてて... 」
「お兄ちゃんでしょ!? そんなこと言うのお兄ちゃんしかいないよね!?」
畜生、またあの眼鏡の仕業だ。
「そしたらそのうち勝手にくるからって... ホントに来た。
すげぇ、お前どんだけ操られてんだ?」
「操られてない!」
私は私の意志で来たの!!
兄貴のことなんて知りません!!
私は怒りを露わに反論した。
「... んじゃ、よくね?」
「?!」
「俺に会いたいから来たんだ? 問題ある?」
「... う、うーん?」
そうだっけ?
そう言われると違ったような気もするんだけど、そしたら兄貴の言うとおりってこと?
まるで美しいバレリーナが、王子様に反転させられたみたいな動き。
私の足は一拍の間地面から離れ、くるりと反転して爪先から貴丸の正面に着地した。