チャンピオン【完】
どう見てもやはり、王子様ではないガチムチ兄貴だ。
だけど私はどうやら、この男に会いたいと思ってしまったらしい。
「あのさ、最初に言っておこうと思うんだけど。
こう見えて俺結構寂しがり屋なのね」
「は?」
「いきなり朝いないとか、やめてくれる? へこむからマジで」
は!? ま、まさかそれで...
そんなことのせいで、試合前口きかなかったの!?
口をパクパクとさせている私に、貴丸は当然のように頷いた。
「うん、悲しかった」
「いやぁぁぁぁぁー!!!
そんな顔して身体して、何言ってるの気持ち悪い!!」
「それは一大事。今から気持ち良くしてやるからな」
そんなこと頼んでいなかったが、私は貴丸の肩に軽々と担がれた。
無情に彼の部屋の扉が閉まった。