チャンピオン【完】
14※ラスタリング
※
朝の食堂に用意されていた翌日のスポーツ新聞には各紙、貴丸の日本復帰試合の様子がきちんと載っていたが、私の小さな後姿の写真があったのは一紙だけ。
内容も、私とミコトのことにはほとんど触れられていなかった。
学校で顔を合わせた了くんはやっぱりあの試合を見に来ていた。
『とっても面白かった。チケット高かったけど行って良かった』
と笑って言った。
頼むから私の事を言いふらさないでくれと懇願したら、
『ああ言うハプニングはみなかったことにするのが、プロレスの楽しみ方だよ?』
と、逆に窘(たしな)められた。
『心配だったら、口止め料ちょーだい。貴丸さんのサイン欲しい』
あまりに男らしい彼の頬笑みに、私は一瞬心奪われそうになった。
バカップル呼ばわりしていて本当にごめん。
私、もっと変なバカップルに殺されそうになった。