チャンピオン【完】
「ここにいるのは最初の試合が終わるまでの予定だったし。練習生でもないのに、いつまでも世話になってもいらんねーんだわ」
「べ、別にいいんじゃない... ?」
私は少し焦った。
他のみんなもいるとは言え、半同棲のようなこの生活は、こういう仲になって見るとかなり都合がよかったりする。
引っ越しちゃったら、こんな風に毎日一緒にはいられない?
「俺がいなくなったら寂しい?」
「まぁ、... 」
妙に、嵌ってしまった。
こいつが二人きりの時だけに見せる甘えた態度だとか、最初はガチムチ兄貴のくせに気持ち悪い!! と思っていたはずなのに。
慣れと言うものは恐ろしい。
このような過程で、バカップルが出来あがっていくのだきっと。
自重しよう、と私は冷静に自分に言い聞かせていた。
「それじゃ、お前も来る?」
「は?」
「引っ越すから、一緒に住む?」