チャンピオン【完】
伸ばされた手に肩を抱かれ、私はあっというまに彼の腕の中におさまった。
外では硬派を気取っているくせに、二人になるとやたらとベタベタしてくる。
たぶんこの部屋には今、凶悪なイチャイチャ菌が大量に発生している。
性質の悪い病気にかかった私は動けず、最後の抵抗に視線を逸らした。
「そんなの... 私まだ高校生だし。パパとお兄ちゃんがダメって言うに決まってるよ」
「お前は? 他の奴はどうでもいい。お前は来たい?」
ウン、なんて言えない。
言えない可愛くない自分に腹立ち、そっぽを向いてコクリと頷いた。
そしたら大笑いしながら抱きしめられた。
「ホントにお前は全く可愛くねえな!」
別にそんなつもりはないのだが、ひたすら彼は喜んでいた。