チャンピオン【完】
ないない。
あはは、と私は思い、怪しい人影の後を追った。
人影は私と言う追跡者に気付かず、コソコソとジムの奥にある会長室の扉に近づき、ノックをした。
それに反応し、明かりのない中から声がした。
『背番号は?』
「51」ガチャリ。
なんだ、今の? 暗号?
背番号51ってイチロー?
一郎兄貴... !? 嘘だろう。
私はそっと、怪しい人物の消えた扉に耳を当てた。
『上手くいったようだな、ククク』
『アア、何モカモガオ前サンノ筋書キ通リダ。全ク恐ロシイ男ダゼ... 』
この声は! 兄貴とジョニー!?
なんなんだ... 私はごくりと唾を飲み込んだ。