チャンピオン【完】

3階なのにどうやって降りたんだろう。

でも、きっと平気だ。だってイケメンだから。




面白くなさそうな顔をしている貴丸の横を素通りし、私はツカツカと兄貴に歩み寄った。


「私、あんたのことずっと優しいお兄ちゃんだと思ってた」

「... 詩、今まで黙っていたけど実はお兄ちゃん、夢遊病なんだ☆
たまに可笑しな言動があっても、大きな心で許してほしい♪」

「もう二度と騙されないよ。

お兄ちゃんのことなんて大っ嫌い!!」

私のその言葉に彼は今までになく、泣きだしそうなほど傷ついた顔をした。




お仕置きはこれで完了だ。

私はお小遣いを手に入れ、巧く行った。


「... だから出て行ってあげる。パパはお兄ちゃんが責任もって説得してよね」

「お兄ちゃん、ジョニーに唆(そそのか)されて、悪の組織ごっこしてただけなのに... 」

まだなにかブツブツ言っている兄貴は無視だ。


「お兄ちゃん私が出てっても良いって。行こう、貴丸」

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