チャンピオン【完】
「... あいつらの言ってた、『但しイケメンに限る』ってこれか」
「なに?」
「フン、別に」
「喧嘩!? 買うよ!?」
私の繰り出したコンバットパンチは、蠅でもはらうように軽くいなされた。
それが余所から見たらイチャついているようにしか見えない事に、我々はまだ気がつかない。
俯く兄貴の眼鏡の縁が、怪しく光っていた。
「全て想定の範囲内だ、... ☆」
その口元に浮かぶ薄い笑みにも、幸せな私たちは、もちろん気がつかないのであった。
end.