チャンピオン【完】
「試合、別にやりたくないなら断わりゃいいよ?」
何を言ってるんだ、怪物くん。
「は!? 断わってるんですけど... !
ずっと嫌だって言ってるんですけど!?」
「... そうか」
フと表情を緩ませ、貴丸が立ちあがる。
なんだ今の...
笑った?
ひょっとして今、笑いましたか!?
恐ろしい物を見てしまった私が驚いている間に、彼はきちんと椅子を元の位置に戻し、行ってしまった。
しかし再会はすぐにやって来た。
「詩ちゃぁん♪ ちょっと来てぇ?」
今日は1日ダラダラ過ごそうと思っていた私は、甘ったるい声の兄貴に呼ばれた。
働かざる者食うべからずの標語が掲げられる我が家にて、どうしたってゴク潰しの学生の私。