チャンピオン【完】
釣り合ってます?
私は少し恥ずかしくなった。
思っていたよりもこれ、普通の、大人の男の人とデートなのかもしれない。
困ったような様子の私に、ニヤニヤとした兄貴が小声で囁いた。
「こうしてみたら貴丸、良い男だろぉ♪ やる気でた?」
言われてマジマジと彼のことを眺めて見れば、好みではないものの、確かに顔も悪くない。
彼が強い、の意味がわかった。
たぶんこの顔は、鼻を折られた事はないはずだ。
大体こいつの顔なんて、怖くて見てなかったからな!!
「... お小遣い!!」
照れ隠しに乱暴に手を差し出したら、「貴丸に渡した♪」と軽薄な返事が返ってきた。
がっかりした。
それじゃ好きに使えないじゃん....