チャンピオン【完】
私は気を使って話を変えた。
「金髪の彼女出来た?」
「向こうで付き合ってたビビアン・スー似の日系人とは別れて来たぞ」
「へ、へぇ... 」
それ誰よ? そう聞きたいのを何とか飲み込んだ。
兄貴が同じだと言ってたから、こいつは私の10歳上。
きっと悲しいジェネレーションギャップって奴だ。
「金髪彼女はできなかったのね」
「好みじゃねーな。
向こうのリングの上で、金髪のオッサンなら相当な人数押し倒したぜ?」
「キ、キモいんですけど!」
私の反応に、ニヤリと彼は笑った。
「仕方ないやな。俺はそれが仕事だから」
冗談のつもりなのだろうか、恐ろしい。
私の嫌いな野蛮な世界だ。
アメプロは面白いと兄貴は言っていたが、ほんと私興味ない。
半裸のオッサンやら兄さんやらが肉体をぶつけ合っているなんて、それだけでも激しくキモい。
残念ながら、日本でもそれは変わらない。