チャンピオン【完】
「嬉しい?」
「うふふ... まぁね!」
「現金なやっちゃな。さっきまでふくれてたくせによ」
そう言えばそうであった。
しかも、お礼もまだ言っていないのであった。
「あの、... 有難う」
どう考えても予算オーバーなはずだ。
こんなプレゼントまでくれて、そこまで私と組んでお笑い試合がしたいものなんだろうか。
正直よくわかりません。
了くんが知っているくらいの有名な人ならば、試合相手くらい引く手数多(あまた)であろーに。
この疑問はこいつが面白がって言わないのならば、兄貴に聞けば解決するのだろう。
しかし、そんなことをして、興味があると思われたら、そっちの方が大変だ!
お礼を言われて気が良いのか、少しご機嫌な様子で彼は手に持ったビールを煽った。
あっという間に空になった。
大ジョッキがまるでグラスの小ささに見える。