チャンピオン【完】

「嬉しい?」

「うふふ... まぁね!」

「現金なやっちゃな。さっきまでふくれてたくせによ」

そう言えばそうであった。

しかも、お礼もまだ言っていないのであった。



「あの、... 有難う」

どう考えても予算オーバーなはずだ。



こんなプレゼントまでくれて、そこまで私と組んでお笑い試合がしたいものなんだろうか。

正直よくわかりません。


了くんが知っているくらいの有名な人ならば、試合相手くらい引く手数多(あまた)であろーに。


この疑問はこいつが面白がって言わないのならば、兄貴に聞けば解決するのだろう。

しかし、そんなことをして、興味があると思われたら、そっちの方が大変だ!



お礼を言われて気が良いのか、少しご機嫌な様子で彼は手に持ったビールを煽った。

あっという間に空になった。

大ジョッキがまるでグラスの小ささに見える。

< 35 / 131 >

この作品をシェア

pagetop