チャンピオン【完】
大人な私の方が話題を振って上げることにした。
「あのさぁ、もし、もしもだよ... ?」
「ああ?」
今朝までならその物言いには竦み上がったが、もう怖くはない。
「私が試合やらないってこのまま言い続けたら、どうなるの?」
「俺が逃げたって言われる」
即答でした。
「なんで? あんたとその相手とでさ、二人だけでやったらいーじゃん!」
「それが出来るなら今日の苦労はいらない」
クソ、やっぱりこのデートを苦労だと思っていたか。
しかしそれはお互い様だ。
「... そんな嫌なら、デートなんて断わればよくね?」
私、お小遣いもらえたらそれで良い。
でも私と彼とは本日の思惑が違ったらしかった。