チャンピオン【完】
「ねぇ、Q太郎。男がさぁ、『俺の秘密』って言ったらなんだと思う?」
「はぁ? かっこつけんのもいい加減にしろ! って笑っちまうね」
あいつに会う前ならば、私もそう言いました。
「だからさ! 詩、やっぱり彼氏できたんでしょ?!」
「ち、ちがう... 」
ああ、もう! 焦ってまたうつし間違えたよ。
チャイムが鳴って、やっぱり全部はうつしきれなかった。
どうか後半部分であてられませんよーに!
ノートの持ち主の梨沙は、余裕で微笑んでいた。
「... ノート、有難う。返すわ」
「あ、うん。いっぱいで大変だったでしょ?」
「全部とか、無理」
「ねぇ、やっぱり土曜日のあの人彼氏?
結局そのネックレス買ってもらったんだぁ?」
Q太郎の声がでかいせいで、やはり聞かれていた。
「違うよ... 」
「了くんがね、すっごいファンなんだって! 感動してたよ」
またこいつひとの話聞いてない。