チャンピオン【完】
男の話しかしない女、超ウザい。
幸せすぎて、周りが見えなくなってる奴、梨沙じゃなくてもいるよな~... 私も気をつけよ。
いないけどさ、彼氏。
しかし親切にノートを貸してくれた彼女に、露骨に嫌な顔も出来ない。
「聞こえたんだけど、なんか秘密があるの?
それ教えて! 了くんに教えてあげたいから♪」
梨沙から溢れだすイチャイチャ菌に、私は鳥肌が立った。
「それを知りたいのは私だよ... 」
「どうしてぇ?」
「だって5年前とか私らまだ小学生? その頃の大人のことなんてわからなくね?」
話を切り上げようと席を離れかけた私の背に、梨沙が言った。
「そんな昔の話なんだ。じゃあ了くんの方が詳しかったりしてね♪ あの人のデビュー戦のビデオから全部持ってるって言ってたよ♪」
「なにっ!?」
突如現れた、貴丸の過去を知る人物。
それが梨沙の男だとは...
チッ。
腹は立ったが、ここはノートに引き続き、頭を下げることにした。