チャンピオン【完】
放課後。
仲良しカポーは揉めていた。
「ピアノなんて休む! 二人きりなんて嫌! 私も行く」
どちらかと言うと、了くんが一方的に責められています。
5年前の貴丸の事が知りたいと頼んだら、了くんは快く「うち来る?」と申し出てくれたが、梨沙は許せないらしかった。
「ねー、まだ?」
喧嘩もイチャイチャしてるようにしか見えない。
こっちが苛つく。
「悪い... もういいや、ちょっと来い」
そう言って梨沙の手を引き下駄箱の陰に連れ込んで、二人はすぐに戻ってきた。
了くんはウザい女を黙らせる魔法が使えるらしい。
少し赤い顔になった梨沙は、笑顔で手を振って帰って行った。
バスに乗って着いた了くんのうちは一軒家。
「誰もいないから遠慮しないで」
そう言われたが、二人きりなんて逆に緊張致します。