チャンピオン【完】
「毎度どーも☆ 」
本物は写真越しよりも数段チャラい。
「悪いね。二人だと梨沙がうるせーんだ」
「はぁ? 相変わらずうぜぇ女だぜ... 自分の男も友達も信用できないってか?」
だが辛辣な言葉は的を得ていた。
「で、なにすんの? あ! 梨沙と別れてこいつと付き合うから協力してくれとかか!?
任してよ」
「プロレスの貴丸のDVD見るだけ」
想像の域を超えていたらしいイケメンはキョトンとして言った。
「貴丸ってあの、人殺し?」
人殺し。
聞き間違いだと思いたくて、私は否定してくれそうな了くんを慌てて見た。
了くんはDVDをセットしながら、頭を掻いていた。
「違う。あれは事故だ」
「どどど、どう言うこと!?」
「これ、5年前に深夜枠でやってた三好追悼番組の録画。
見たら大体分かると思うよ」
約50分の番組内容は、『三好圭造』と言う偉大なレスラーの軌跡を追ったものだった。