チャンピオン【完】
泣き続ける私の頭を叩き、パパは爆笑しながら言った。
『俺が賭けプロレスのギャンブルで大失敗したんだわ。
耐えてくれ、詩! マジですまん!!』
あのパパが言うなら死ぬほど本当っぽいから、それを信じていた。
耐えろ、と言われたらそうするしかない。
私は耐えた。
だか、完璧にプロレスと言う世界のことは嫌いになった。
貴丸は、その時はもういなかった。
彼は、私にどんな顔して会えば良いかわからなかったと言った。
やりたくなければやらなくて良いと言った。
世話になったパパとお兄ちゃんの言う事を断れないと言った。
でもそれって、貴丸のせいじゃない。
画面の中のパパも言ってた。
『リングに上がる以上、誰でも覚悟はしてるんです』
責任感じてたに違いない彼に、私は何を言ってしまった?