チャンピオン【完】
「そうか... なんとも言えないけど、その経験が役にたつ日がきたな」
試合やる気になった、と言ったら、なにができる? と聞かれてした私の説明に、貴丸は微妙な顔だった。
わかってるよ。
騙されてバカだと思ってるんでしょ。
私はイヤミなほど真面目に、学校のジャージ&おさげ姿で決めて、練習場に踏みこんだ。
貴丸師匠に弟子入りするのだ。
練習生くんたちからは、羨ましいと言われた。
「それじゃ、なにも教えることない」
「そんなのいや。ちゃんと指導して下さい」
この期に及んでも私は、練習で貴丸に骨折でもさせられて、試合をしなくて済むと言う結末をまだ望んでいる。
「やる気はわかった。けどあと二週間だぜ?覚えられることなんてねーよ」
そのやりとりを見ていたトレーナーのジョニーが口を挟んできた。
「ジョニーズ・ブート・キャンプニ入隊サセテヤッテモイイゼ。コギャル」
「そんな怪しいものごめんだね」
私は丁寧にお断りをした。