チャンピオン【完】
強くも弱くもないが、最近飽きられて人気に陰りが出て来た。
しかし彼女は実は、プロレス界の裏を牛耳る人物の娘であったのだ!!
「... なんかすごいの? それ」
「お兄ちゃんもそのへんはちょっと...
とにかく、そのご機嫌をとるのも大変だってこと」
そこでズバ! と華麗にミコトに負けてくれる女子レスラーの方はおりませんでしょうか? と言う話があった。
ガチプロの女子はみんな嫌がった。
女子もいないうちの弱小団体にまで、笑い話としてその噂が流れて来た。
「味噌は三好の団体ってとこだ。三好が死んだときには練習生だったマグマって奴がプロになって、師匠の仇討がしたいと言い出してる」
「私、誰も貴丸と試合やりたがってないって聞いた」
「5年経った。貴丸の恐ろしさを知らず、死にたいアホが出てきたってことさ♪」
でも、三好の団体はマグマを出し渋った。
5年前の貴丸と同い年の彼はこれから売り出し中。
ここで万が一にも師匠に続いて負けたらまずいのだ。