チャンピオン【完】

「あんたヤケになってんの?
こんなこと言われて、負け試合しなくちゃならなくて、悔しくないわけ~?」

超発的な私の言葉にも、全然彼は乗ってこなかった。


「別に」

「あ、三好の亡霊と闘う感じ? 5年前の自分に打ち勝つんだぜ! みたいな?」

「言ってろよ。そんなこと考えてもいねーよ」

尚更わからん。


膨れた私の隣に、ドカっと彼は座り直した。

それからいきなりグイと私の顎をとった。


調子乗って生意気言って、怒らせたか!?

私は死を覚悟した。


「... お前さぁ」

でも殺さないらしい。

彼はあり得ない程の近くに自分の顔を寄せて来た。


「な、なにすんのよ。放してよ! 野蛮人!!」

私、汗臭いんだから寄らないでくれ。

毛穴が見えちゃうから、近づかないでください!

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