チャンピオン【完】
調子こいてない。
あいつは見てくれは良いが、使えなさそうな奴だった。
戦慄くQ太郎をヨシヨシと宥め、私はお弁当を片づけに入った。
「イケメン崇拝同盟裏切るなよな。ひとつ! イケメンがいたら」
「写メ撮らせてもらう」
「ふたつ! イケメンがいたら」
「キャー! と言って、イケメンの気分を盛り上げる」
「みーっつ! イケメンがいたら」
「彼氏がいようが、イケメンを優先する。イケメンはこの世の宝である」
「... わかってんじゃん。それでいーわ」
そんなこと言ってるから、私たち彼氏出来ないんだと思わんか? Q太郎。
大体そんな取り決めしなくても、本物に合ってしまったら自然にそうなる。
「詩、それ何飲んでんの?」
これ?
ちゅう、と吸いあげていた水筒のストローから私は口を離した。