チャンピオン【完】

私の横にいる子なんて、メモ帳ひろげちゃっている。

ジョニー隊長は我々ひとりひとりを愛おしげに眺め、頷いた。


「『但しイケメンに限る』、コレダ」

「え!?」

なんか、変なこといったぞ。

隣の子がぽろりとボールペンを床に落とした。


「女ノ言葉ノ最後ニハ大抵コレガツイテイル。

『男はお金よりも中身よね』、『優しい人が好きです』、『痴漢冤罪なんて可哀想』、コレラノアトニ、目ニ見エナイホドノ小サナ字デナ」

「なに言ってんのあんた」

「モテネーオ前等ニ優シイ俺カラ最後ノアドバイスダ。ダカラ痛イ目ニアイタクナケリャ、勘違イスルナッテコトサ。

特ニオ前トカナ、ベイビー」

ジョニーにベイビーと呼ばれそっと首筋を撫でられたのは、一番真剣にトレーニングに励んでいる子だった。


「... 筋肉って素敵☆ って公言してる女に振られた理由は、それだったのか... !」

ガクリ。叫ぶような呟きとともに、練習生の一人が膝を折った。

絶望の波は思い当たる事があるらしい彼らにすさまじいスピードで伝染し、それぞれ何か呟きながら崩れ落ちて行く。

立っているのが私だけになった。

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