チャンピオン【完】
「詩、お前の言いたいことは、お兄ちゃんよぉぉくわかる。だがな、もうこれしかないんだ。
諦めてくれ!」
「アホかーっっ!?」
私は扉の向こうに向かって、声の限りに叫んだ。
シンジラレナイ... 。
我が家の、いや我が団体の経済状況が切迫していることは明らかだったが、それがこうして我が身に降りかかろうとは...
ただの女子高生の私がエロいボンデージ衣装着て、リングに上がり、ガチムチ兄貴とファイト繰り広げろですと!?
死んでも! 嫌だ... !
そんなことしたらお嫁にいけない。
いつかお嫁に行きたい私のトイレでの籠城は、6時間に及んでいた。
思わぬ持久戦になった。
こんなことなら、もっと夕飯きっちり食べておくのでした。
しかし私の未来の悩みより、もっと切羽詰まった問題が、トイレの外では起こっていた。