チャンピオン【完】

「いや、正確には見かけただけなんだ。
空港まで送ってくれるって言う一郎を車で待ってたら、血相変えたお前が飛んできて、

『お兄ちゃん、私の誕生日にネックレス買ってくれるって言ったじゃない!
買ってくれないなら死んでやる!!』

って泣きながら怒った。

俺はその時三好が死んだ事で物食っても吐いちまうほど悩んでいたが、お前が死を選ぶ理由を聞いて、それがアホくさくなった」

「... 腹立ったり、アホくさくなってるだけじゃん....... 」

期待していたロマンチックなことなど、我々の間にはやはり存在しなかった。

あったのは昔から可愛くない私、と言う事実。

とてもガッカリしました。




ククッと抑えて貴丸の腹が震えた。


「そうなんだよ。
お前はほんといつでも腹立つし、アホくさい。
よえーくせに偉そうで、なにが気に入らないんだか、大人のレスラー相手に女王様気取りでよ」

「なんかずいぶん喋るじゃん、あんた... 無口なのかと思ってたよ」

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