チャンピオン【完】
私の唇をめがけて起きてくる彼と何度も何度もキスをした。
最初は数えていた回数も、わからなくなった。
逆に私が覚えたのは、目を伏せるタイミング。
そんな事を静かに、どれくらい続けたのか、待っているのに期待している柔らかさがなかなか来なくて、私は目を開けた。
頭の後ろで組んでいた手の一つを後ろにつき、貴丸が吐息の触れる距離でジッと私を見つめていた。
「... 聞いたんだろ? こわくねーの?」
「なにが?」
彼が膝を立て、私は貴丸の腹の上まで滑り落ちた。
いきなりの事に仰け反る私。
それを逃がさぬよう、受け止めるように項が掴まれ、また強引に近い距離で私を見る。
こいつは人のファーストキスを、一体どれだけ愚弄する気なんだ。
「... こんだけしてなんかわかった?」
まだわからんと言ったら、頭突きしてやる。