チャンピオン【完】
「大丈夫♪ 観客が見たいのは貴丸とマグマだって☆ 詩とミコトは刺身で言うところのツマだ☆ ハンバーガーで言うとピクルスだ♪」
「そんなもんのためにこんな思いしてるの? 私... 」
私はしょんぼりと悲しい気持ちのまま、他の人たちの激しい試合を見ていた。
ウォームアップを終えた貴丸は椅子に座り、静かに目を閉じている。
超話しかけてはいけない雰囲気だ。
緊張している私に、『俺が守ってあげるからね☆』とでも言ってくれたら少しは...
いや、そんなこと言われたら『嘘付けー!!』と怒鳴ってしまう自分が目に見える。
なんて可愛くないんだ、私。
私はジョニーの言葉の精神的ショックをまだ引き摺っていた。
ついに入場口の前まで連れてこられてしまった。
ミコトの言っていた通り、もう逃げられない。
備え付けのモニター画面の中、会場の照明がおちた。
場違いに明るい音楽がかかり、反対側の入場口が開かれた。
ドライアイスの煙の中から登場したのは、マグマにお姫様抱っこされたミコト。