チャンピオン【完】

12※スピークラウダー





音楽が変わり、曲調が変化したと同時に目の前の扉が開いた。


「貴丸の入場曲久々だ♪ これを聞きたかったんだ♪
いってらっしゃ〜い☆」

兄貴はいつもと同じに笑っている。


天下に並ぶものがないと名乗る男が一緒なんだから、私別に鳳凰も怖くない。


花道に現れた貴丸を、お帰り! の野太い大歓声が迎えた。


客席は見渡す限りの満席。




私は大股でリングに向かう特攻服の後ろ。

SPの練習生に守られながら、「なんかすみません」という足取りでついて行った。



あげてくれているロープを貴丸に続いて潜り、ついに来てしまいましたリングの上。


この特攻服はこの時間だけのものだったのか。

脱ぎ去り練習生くんに手渡そうとしている貴丸の背中に、いきなりマグマがドロップキックをかました。


「ちょっとぉ!! 奇襲とか卑怯じゃね!?」

「詩! いいからこっちこっち!」

< 95 / 131 >

この作品をシェア

pagetop