チャンピオン【完】
残されたのは、私と極悪の赤逆毛。
こ、これからどうするのこれ?
私、ジョニーズ・ブート・キャンプでやったコンバットキックしかできない。
ロープで勢いをつけ襲いかかって来たマグマから逃げるわけにもいかず、私は思い切って足を挙げた。
マグマは顔から私のブーツに突っ込んできて、勝手に倒れた。
... は? なんで?
「ケンカキックじゃん! キャー☆ 詩いつの間に習得したの~!?」
はてなマークがいっぱい浮かぶ私に構わず、歓声と一緒に聞きなれた兄貴の声が私に届いていた。
そのあとも、私がパンチすればマグマは大袈裟に痛がり、私が腕を掴むだけで何かの技が決まった。
これ、やられてくれてるんでしょ... ?
しかし大男が小さな女子に翻弄されているのをみた観客は、とても喜んでいる。
私、なんかわかって来た。