チャンピオン【完】
これが兄貴の言ってた『受けの美学』なのか... ?
私をひょいと抱きあげたマグマが、ロープに向かう。
そこには彼氏がやられて怒りの表情のミコト。
押さえつけられて動けない私に、ミコトのチョップが決まった。
痛いが耐えられない程ではない。
パンと手を触れさせ、マグマはリングを出て行った。
すかさず後ろから首に腕を回され、締め上げられる私の耳に口を寄せたミコトが言った。
「早いとこ交代してね☆」
ええ、... 貴丸とこいつやりたいの?
バカじゃん、やられちまったらいいよ。
私は残念に思いながら、首をとられたままの姿勢で尺取り虫のようにリングを這い、貴丸の元にたどり着いた。
なんとか手を伸ばしてタッチ。
貴丸はそのままポールに上がり、ミコトめがけて飛んだ。