桜歌
そう言って杏樹は
にっこりと笑う。
ふわふわとしたその言い方に
2人とも気が収まったのか
目を見合わせて苦笑した。
「そんな杏樹は年下無理?」
「無理じゃないけど、
私にはちぃ君がいるからなぁ」
ヒカリの問いかけに
杏樹がそう答えた。ちぃ君とは
付き合って2年になる他校の彼氏。
何度か会ったことがあるけど、
イケメンでとても優しく
杏樹のことをとても大事にして
くれそうな人だった。
「あ!そっか~!じゃあ美緒は?」
思い出したように言うと
次は私に問いかけてきた。
「…私も年下はちょっと、」
それに陽介先輩のこともあるし、
他の男の人のことは考えられない。
ヒカリは、そっかぁ…っと
残念そうな顔を見せたが
それは一瞬のできごとだったのか
「ま、いいや!私絶対メアド聞く
もんね~っ!」
と、足をバタバタさせ
完全にスイッチを入れてしまった。