灰色の羽
―1日目―


その日の朝、つまり捨て少女を拾った夜の明けた次の日、リビングのソファーで寝ていた私は香しいコーヒーの匂いで目を覚ました。


「あ、起きた?」


「パト、なんであんた朝からうちいるの?」


「自分が来いって言ったんでしょ?すぐ朝食できるよ。」


あぁ、そうだった…


寝ぼけた頭はじわりじわりと覚醒し、色々なことを思い出させた。


「パト、あの子は?」



まだいるの?


「さっき見に行った時はまだ寝てたよ。よっと」

フライパンを器用に動かしながら答える。



いきなりいなくなるなんてさすがにないか。


「マキはなんでソファーで寝てたの?」


タバコに火をつけながら、


「あんたゴキブリと一緒のベッドで寝れる?」


「んーそれは御免こうむりたいね。」


「つまり、そういうことよ。」


ふぅ、と煙を吐く。


そう、つまりがそういうことだ。
誰が好き好んで嫌悪物とベッドを共にするか。
私にとってそれは子供にあたる。



それに…



私はそっと自分の胸に手を当てた。


吐き気はおさまったみたいだし、感情の揺れもない。
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