片翼の天使達
少女はピーコックグリーンの瞳を空へ向けた
突き抜けるような空の蒼にくすんだ鉄灰色が重く遮るようにあった
……鳥籠…………
ソレを連想させる鉄の檻
しかし、少女はそこが檻の中だということを知らない
あったかい日差しに色鮮やかな花、ふかふかのベッド
おいしいご飯は同じような服を着た女の人達が置いていく
なんの不自由もないセカイ
ただ、と少女……ユアンは考える
少し狭いかな……
走り回る程には広くなくて、歩くだけならちょうど良いくらい
でないとあの棒にあたってしまう
ぐるりと一周して空まで覆う冷たい鉄の棒、それがあるから遠くまでは走れない
そこでユアンは首を傾げた
………遠くってドコだろう?
シャラリ、とユアンの瞳と同じ色、青翠色の鱗のような髪飾りが揺れた
その涼やかな音だけがユアンの閉じたココロに波紋を起こした
朧気になっていく記憶を留めるように頭を振れば、シャラリと髪飾りが音をたてた