片翼の天使達
三羽の小鳥
心臓が早鐘のように激しく鳴り響いている
息を切らしてフェニとレイブンは森の中を走り抜ける
「何っ……よ!ちゃんと、逃げられるんでしょうね!」
息を切らして叫んだ少女、フェニは後ろを走る少年に問い掛ける
「……大丈夫だ……今ごろは大騒ぎだろうけどな……」
端整な顔にクスリとクールな笑みを刻むが、フェニは冷たく目を細めた
「そうじゃなくて、あんたが大丈夫かって聞いてんの!」
言葉の意味を理解してレイブンはムッと眉を寄せる
涼しい表情を保とうとしているが運動神経がいいとはいえ、女の子のフェニよりも数段トロい……
恐らくは長い間檻の中にいたせいだろうけど……
「今からそんなので大丈夫なの?」
「……大丈夫だ」
頑固者……そう思いながらもフェニは不思議な混乱の中にいた
鼓動が激しく打つのは走っているせいだけではないだろう
先ほどの脱出劇のせいだ……