片翼の天使達



「休む?この森ならすぐには見つからないでしょ」



マントに包まれた小さな少女を恨めしい思いでレイブンは見た



頭一つ分背が違うと言うのになんという体力だろう



フェニという少女は普通にしゃべっているが、あれだけ走ってよくしゃべれたものだ


レイブンは膝に手をついて返事を返す気力も残っていない



だが気持ちは変な解放感に満ちいていた
わき腹が痛いのも喉が焼けるように熱くなる感覚も初めて味わったのだ


そして、レイブンは首を無意識に触る
そこにはもう冷たい鎖はないのだ………




走って汗をかいたのか、纏っていたマントとバンダナをフェニは外し始めた




レイブンは素直に感嘆した



ゆるく波立つ紅い髪がパサッと肩に落ちる
さらにその髪よりも深い深紅の片翼が現れてレイブンは思わず呟く



「……綺麗なもんだな」


「へっ!?」



裏返った声、勢いよく振り返ったフェニは眉をキツくよせてレイブンを凝視した


その顔があまりにも凄かったが思わずレイブンは吹き出す



「何に笑ってんのよ!」


「いや…」



くつくつと笑った
言われて慣れていないのがまるわかりで可笑しかった








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