片翼の天使達
不敵な笑みを浮かべてレイブンは言った
「わざわざ元の場所に戻って来るなんて普通考えないだろ?」
きっと近くの町に逃げたと思われている
ならばと、二人は何もない森へ向かった
それにこれから逃げ続けるなら、いる物をそろえた方が良かった………特に食物を
そして今、街に戻って来た
「わ〜人がいっぱいいる」
カムイはキョロキョロと辺りを見まわして、物珍しそうに店を覗き込んでいる
それを後ろから二人は眺めていた
「カムイってやっぱり……」
フェニはカムイを見つめながら呟く
その先の言葉をやはりレイブンは理解してくれた
「……俺達と同じかもな」
保護者とケンカしただとか言っているが、恐らく違う
どこか帰るあてもなさそうだ、だから自然と二人についてきたのだろう
「……まぁ好都合だろ。俺達を探すなら二人だと思ってるだろうし、三人ならカモフラージュできるだろ」
二人は目立つ髪と翼をマントで隠している
そんな二人組の少年少女など直ぐに見つかってしまう
騒ぎを起こさなければ大丈夫だろう、と二人は思っていたが…………