片翼の天使達
「なにやってんだ坊主!!」
レイブンとフェニはハッとする
前方を歩いていたカムイが店の店主らしき男に怒鳴られていた
「なにやってんだアイツ!」
騒ぎを起こせば面倒だというのに
焦って駆け寄った二人は唖然とした
「えっ、持っていったらダメなんですか?」
店先に並んでいたリンゴを手にしたカムイは不思議そうに問い返していた
店主も唖然としながらも怒鳴った
「馬鹿を言うな!金を払わなきゃダメに決まってるだろ!!」
「おかね?」
首をかしげるカムイに今度こそ店主は呆れ返る
それを聞いたレイブンとフェニも言葉をなくす
「どこの箱入り坊っちゃんなのあの子……」
お金も知らないなんて今までどういった環境で育ったのだろうか
「何を騒いでいるんだ?」
突然割って入った声にカムイは振り返る
そこに立っていたのは街の衛兵だった
二十代前半くらいだろうか、背の高い男が腰に剣を携えている
瞳は印象的な青緑、背中には立派な白い片翼があった
「いやね、この坊主が……」
店主がその衛兵に説明する
しかし、すかさずフェニが割って入った
「すみません!この子田舎育ちなんです。ちゃんと言い聞かせますから許して下さい!!」
勢いよくカムイの頭を掴んで、頭を下げさせた