片翼の天使達



鋭い質問にギクリとした


何か言わなければとフェニが焦っていると、後ろからレイブンが叫んだ



「二人とも遅いぞ!旦那様が呼んでる」



その声に二人はキョトンとした
衛兵の男も青緑の瞳をレイブンに向けた



レイブンは整った顔に笑みを刻み、近寄る
フェニとカムイの腕を掴んで足早にその場を離れようとする



「すみません、主人が呼んでいますから。お使いの途中なんです」



そう言って微笑むレイブンは人形めいた美しさだった
腕を掴まれ引きずられるようにレイブンについて行くフェニはやっぱり、と思う



……作り笑い




表情だけで笑っていて感情という暖かさが感じられなかった








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